■東京合同法律事務所 坂勇一郎
         敗訴者負担問題の現状と今後の課題

 政府の司法制度改革推進本部・司法アクセス検討会は、「弁護士報酬の敗訴者負担」制度について「合意案」によるとりまとめを行いました。


坂勇一郎弁護士

 「敗訴者負担」は国民の裁判所利用をしにくくするものであり、多くの市民・弁護士が導入に反対してきました。市民団体・日弁連が取り組んだ反対署名の数は一一〇万筆を超え、パブリックコメントに寄せられた五、一三四件の圧倒的多数は反対意見で占められました。

 こうした反対運動の高まりの中、制度導入を図る勢力は「原則導入」の方針を放棄せざるをえなくなり、従前の案にかわって「合意案」を提出してきました。

 この「合意案」は、裁判になった後に当事者が合意したときのみ敗訴者負担を適用するというものです。この「合意案」のねらいは、第一に将来の「敗訴者負担」本格導入への足がかりを確保することにあります。第2に、「敗訴者負担」にいわば「法制上のお墨付き」を得て労働契約・消費者契約・中小企業の契約の中に「裁判になった場合には勝訴者の弁護士費用は敗訴者の負担とする」という敗訴者負担条項を入れ、この契約上の条項により事実上「敗訴者負担」導入と同様の状況を作り出そうとしているのです。就業規則に敗訴者負担条項が入れられたときには、労働者は自らの権利を裁判に訴えることが難しくなってしまいます。

 司法制度改革推進本部は三月にも「合意案」による敗訴者負担法案を国会に提出するとしています。
 舞台はいよいよ国会に移ります。国民の裁判所の利用をしにくくするような制度の導入を許さないため、これから国会議員に対する取り組みが重要となります。

 弁護士報酬の敗訴者負担に反対する全国連絡会は、二月二四日午後〇時四五分より、衆議院第一議員会館第一会議室で、国会内集会を開催します。是非、お誘い合わせの上ご参加下さい。