労働契約法制特集

 首切りや賃下げ、ただ働きまで使用者のやりたい放題ー厚生労働省は、こんなとんでもない法案づくりをすすめています。来年の通常国会に提出、という重大事態です。黙っていたら大変!内容を知らせて、運動を盛り上げましょう。
長時間、不払い労働を合法化

 一定の年収(日本経団連は年収400万円と主張)を超える労働者を対象に、「自律的な働き方」をする者と決めつけて、法定労働時間の規制を外してしまおうというものです。これによって、使用者は残業代を支払うこともなく労働者を際限のない長時間労働へと追い立てることが可能となります。
 いま切実に求められている残業や休日労働などの長時間労働の改善どころか、多くの労働者が健康と家庭生活の破壊、メンタルヘルスの悪化、過労死という最悪の事態に追い込まれてしまいます。
少数意見無視で労働条件カット

 過半数組合(または、過半数労働者の代表)と合意すれば、会社は、就業規則を改悪して労働条件を自由に切り下げることが可能になります。これは個人の権利を侵害し、少数組合の団体交渉権を奪うものです。
 使用者による労働条件の一方的な決定を法的に保護する仕組みであり、企業にとって都合のいい契約を労働者に押しつけるための新しい仕組みづくりにほかなりません。
金さえ出せば解雇は自由

 解雇が無効かどうかにかかわらず、裁判所が「職場復帰が困難」と判断すれば、使用者が一定の解決金を支払えば労働者を職場から永遠に追い出すことができる「解雇の金銭解決制度」の導入が打ち出されています。03年の労働基準法改悪の際にも検討されましたが、多くの批判によって頓挫しました。ところが、財界とアメリカの要求で再び持ち出されたのです。使用者は、裁判で無効とされるかどうかを気にせず乱暴な解雇をして、気に入らない労働者を金で追放できるというものです。これを許せば、使用者の身勝手な解雇が野放しとなります。

 労働契約法制をめぐる動き
 現在、厚労省は来年の通常国会をめざして、厚労相の諮問機関である労働政策審議会にて検討をすすめています。しかし、厚労省の拙速な運営と強引な「素案」づくりに反発した労使双方から異論が続出し、6月27日に審議がストップしてしまいました。
 一方、6月29日、小泉首相とブッシュ米大統領は共同文書「新世紀の日米同盟」、「日米投資イニシアチブ報告書」を発表しました。その中でアメリカは、日本の各種の規制緩和を評価するとともに、日本におけるアメリカ企業を支援するため、あらためて米国流ホワイトカラーエグゼンプション制度(労働時間規制の適用除外)や解雇の金銭解決の導入を執拗に求めました。このため、内閣府「規制改革・民間開放推進会議(議長 宮内義彦オリックス会長)」は、異例とも言える意見書を7月21日に発表しました。それは、財界の意思を貫こうとの思いから、厚生労働省の「素案」にすら噛みついて、さらなる規制緩和を求めるものでした。

 審議会は再開されたが

 こうした中で8月31日、2ヶ月ぶりに審議会が再開されました。厚労省は、この間労使双方から聞き取った主な意見を報告書にまとめて説明し、会長は今後審議会で出された意見でまとめていきたいと表明しました。また、来年の通常国会への法案提出を前提にしないことを労使が一致したにもかかわらず、次回審議会を9月11日に設定するなど、厚労省は強硬姿勢を崩そうとしていません。