ILO ユネスコ調査団がやって来る
    3.26シンポジウム

 基調提案を行う牛久保弁護士
 3月26日、都教組が、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」の学習もかねて、「3・26緊急シンポジウム」を開催しました。

 このシンポジウムは、CEART(教員に関する勧告の適用に関わるILO・ユネスコ共同専門家委員会)が4月21日から28日まで、日本に調査団を派遣することから、開かれたものです。

 今回のCEART調査団の訪日は、東京で実施されている人事考課制度が、協力・共同による教職員の教育活動をいかに壊しているのか、そしてそれが子どもと教育にとってどういう影響をもたらしているのかという実態を告発する絶好の機会となります。
 シンポでは、調査団訪日まで全教弁護団として尽力してきた牛久保秀樹弁護士が、調査団が訪日するまでの経過と基調提案を行い、「CEARTが調査団を送るのは世界で初めてのこと、世界の教職員運動のためにもきちんと成功させたい」と述べました。

 また、都労連の井口副委員長が、「成功すれば都労連のこれまでの運動の正しさが明確になる」と連帯の挨拶を述べました。基調提案を受けたパネルディスカッションでは、パネリスト三人がそれぞれの立場で発言を行いました。勝野正章東京大学准教授は、「勧告は教育の原則からスタートして教員の地位にふれている」ことを強調しました。また、新堰義昭全教副委員長は、「調査は一からスタートするのではなく、第八回勧告の中身が覆ることはない」と述べました。評価結果に対する苦情をこれまで聞き取ってきた都教組弁護団からは、尾林芳匡弁護士が発言し、「苦情相談での弁護団の聞き取り結果が、調査団に提出できるだろう」と述べました。

 会場からは、都教組の各支部代表が、今回のCEART調査団への期待をこめて発言を行い、業績評価がどれだけ職場の協力・共同を壊しているのかということや、開示や評価そのものの問題が実態をもとに次々に出されました。
 また、都障教組や都立高校の教職員からの発言もありました。
 最後に、工藤芳弘書記長が、@人事考課制度が労使協議事項であると都教委に申し入れる、A四月十日までに、すべての市区町村地教委へ同様の申し入れを行う。(結果を調査団に報告する)、B一九六六年の「教員の地位に関する勧告」と第八回勧告を読んで、学習を深め、今後、勧告を教育現場に生かすとりくみを運動として確立するという今後の提起を行いました。

 都教組は、調査団への報告書を作成し、この訪日を機会に要求を実現させるためのとりくみを強めています。

 <解説>
●歴史的な調査団来日 二〇〇六年一一月、第六回CEART(教員に関する勧告の適用に関わるILO・ユネスコ共同専門家委員会)報告で、ILO・ユネスコの調査団が、来日することが明らかになりました。 このような訪問調査活動は、CEARTとして初めてであり、画期的なことです。
●全教が申し立て これは、全教が、二〇〇二年六月、日本における、「指導力不足教員」政策と新教職員評価制度(人事考課制度)が、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」に抵触するとして、ILO・ユネスコに直接申し立てたことに始まります。 申し立ての趣旨は、これらの政策・制度が、客観性・公正さを欠き、主観的・恣意的な仕組みであり、本人開示・不服申し立ての保証がなく、労使協議も拒否しているというものです。
●文科省に是正勧告 ILO・ユネスコは、全教の申し立てを受理し、これまで日本政府に対し三度の是正勧告を行いましたが、いまだ問題の解決がなされていないとして、今回の調査団派遣ということになりました。CEARTは、「日本政府と全教によって求められた状況の調査をし、これまで位置づけられている問題の解決のための提案をすべての当事者におこなうために、調査団を派遣する」としています。 文部科学省、都教委は、これまで「勧告自体は国内法を拘束するものではない」として、問題となっている制度が、協議する必要のない管理運営事項であり、勧告の対象外であるという態度をとり続けていますが、CEARTは、「そのような主張を受け入れることはできない」としています。
●国際基準で権利向上 「教員の地位に関する勧告」は一九六六年一〇月、パリのユネスコで開かれた特別政府間会議で採択された教員の地位に関する国際基準です。今回の調査団の来日は、この国際基準を適用させるための出発点です。 調査団の派遣を契機に、当局と教職員組合が「善意と適切な対話」を推進し、「勧告」を遵守した制度の見直し、改善を前進させることが重要です。それは、どの子も大切にする教育に直接結びついていることは言うまでもありません。 調査団の来日調査は、これらの手続きを通じて、国際法というものが、実際に働く人々の権利向上に活用されていくことにつなげていくためにも極めて重要な意義を持っています。
                              (都教組書記長 工藤芳弘)