HOME労働相談の事例集■第193回 オルグの現場から 159 コロナ禍で解雇
労働相談の事例集
■第193回 オルグの現場から 159 コロナ禍で解雇
2020.12.15

◆内定を取り消されたWさんの事例。

 日・英・仏の3か国語を習得した中国籍のWさん。旅行会社に就職が内定しましたが、コロナによる業績悪化を理由に内定が取り消されました。
 当初、会社が提示した条件は1ヶ月分の給与を支払うことのみ。弁護士にも相談し、雇用したうえで雇用調整助成金を使うことなどを提案しましたが、業績の回復が見込めないなどの理由から折り合いがつきませんでした。
 災害とも呼べる感染拡大による業績悪化を即、労働者に転嫁する会社のやり方は、本人も全く納得できません。国境封鎖で帰国もできず困っていました。
 本人と組合で会社と交渉し、結局3ヶ月分の給与を解決金として支払うことで本人も納得して合意しました。Wさんがあきらめずに粘り強く会社と交渉した結果です。 

 ◆突然明日から自宅待機を命じられたAさんの事例。

 足立区にある物流会社で正社員として働くAさん。企業の文書を運搬する仕事に従事していましたが、社長から突然自宅待機を命じられました。
 コロナの影響で元請の仕事が減少し、すでに1人解雇されていましたが、「仕事ぶりが悪い」という元請のクレームに乗じてAさんを解雇しようとしたのです。Aさんは実際に仕事がうんと減っているから解雇はやむを得ないが、離職票を会社都合にすることと、解雇予告手当の支給を求めたいと相談に来たのです。組合役員がすぐに電話で社長と交渉したところ、話し合いでの解決を承諾。
 交渉時点の8月20日付で会社都合で解雇、8月分給与と解雇予告手当1ヶ月分を支払うことに合意し、円満解決しました。組合の迅速な対応が解決の力になりました。

古川立生(地域労組せたがや)

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