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【ひと】「私憤を公憤へ」組合員の声を束に小さな前進 (山本民子さん)
2022.12.20

 皆さんは「私憤を公憤へ」ということばをご存じでしょうか。この言葉の重みを私は、元阪大公衆衛生学教授丸山博先生から受け取りました。

 これは、森永ヒ素ミルク中毒事件によって被害を受けた家庭を大阪の保健師が訪問し続け、「14年目の訪問」として追跡調査し、その被害を世論に知らしめました。一人の養護教諭が丸山先生に話した私憤を、同じ私憤を抱いている住民をつなぎ公憤にし、被害者の恒久救済へと結びつけました。

 これは組合活動にもつながっていると思います。職場に慢性的に人員が足りない、産育休や病休の代替がない、夏季休暇や年休が希望日に取得できない、長時間労働が強いられている、上司からハラスメントを受けているなど、おかしい(私憤)と感じているひとは一人ではありません。一人で抗議してもうやむやにされることを経験しているから、組合は組合員の声を束(公憤)にして、当局と交渉を重ね改善を勝ち取るのです。時には、相手から放たれる交渉材料に心が折れることもあります。しかし、組合員の私憤の塊と信頼が私たちの原動力となり、しつこく何度も要求し続け、小さな前進につながることを経験しています。

 庁舎前で早朝、組合の宣伝ビラを配布している時、「いつも早いね」と時差出勤する職員に声をかけ、異動した同僚を見つけて近況を聞くことが、私憤の聞き取りだと思って続けています。

山本民子さん【江東区職員労委員長(保健師)】

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