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労働相談の事例集
第189回 オルグの現場から 155 個人加盟組合の強化と紹介活動の活発化を
2020.08.15

「保母」さんが「保育士」になったのは、2006年の男女雇用機会均等法改正に伴う、関連法の改正によるものだ。保育は女性職ではない、男性も携わるのだからジェンダーフリーの職名にすることが求められた。先日、その保育現場から驚くような相談が寄せられた。

相談者は、保育歴25年以上の女性。最初の職場は20年目に退職を勧奨され、退職の日に園長からセクハラを受けた。その後、株式会社の保育園に正社員として採用された。

その会社は保育園を30カ所ほど持っている。職場は若い保育士ばかりで、0歳児や1?2歳児のクラスなのに基本的な日常のケアのやり方を知らない。やらない、仕事ができない若い保育士の給料は10数万。だからすぐ辞めていく。雇われ園長は何を告げてもどうにもならない。その中で、相談者は過労とストレスにより路上で倒れた。入院時の休みは勝手に年休扱いにされ、しばらく休んだ後、職場復帰を申し出ると事務職として別の園に配転となった。保育士の手当がなくなった。

本社の若い男性が人事として動き、失礼な言動をとる。傷病手当の手続きもせず、勝手に有給扱いにされたこと。病気になって倒れたことなどの慰謝料を要求したい。これまでに弁護士に相談し労基署にも行ったが、と。

まず、労働組合に加入すること。そして人事の若い男性ではなく、本社に対してきちんと団体交渉をすべき。それは子どもたちと父母たちのためにも重要なことだとアドバイスした。保育のみならず福祉・介護、医療などでの労働組合の個人加盟受け入れ態勢の強化と、都内各地の労働相談受け入れ組織からの紹介活動の活発化が喫緊であろう。

佐伯芳子(東京地評労働相談員)

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