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全都に広がる公契約条例 23区は過半数に
2023.08.11

 台東区と墨田区はそれぞれ条例案等を公表し、年度内での制定に向けて大きく踏み出しました。23区では2012年の渋谷区を皮切りに両区で合計12区、過半数を超えることになります。
 新宿区労連傘下の2組合は、23春闘に際し新宿区の公契約条例報酬下限額を示し団交に臨みました。その結果、報酬下限額と改定率を考慮した時間給の大幅引き上げを勝ち取りました。公契約の水準が民間相場に波及し、またそれが公契約条例審議会に影響を与える循環を生んでいます。区部人口比約52%、公契約条例が新たな段階に入ったと言えます。

台東区も制定に走る 打開策悩む中、区長が答弁

【台東区労連・議長・寺山邦裕記】台東区は昨年秋より公契約条例案が走り出しました。区長が議会で質問に答える形で公契約条例制定を考えていると発言。R6年4月施行予定です。 
以前、東京土建台東支部は区議会に陳情書を提出して趣旨採択をされています。が、区として公契約をどう考えているのかがわからない状況が続き、毎年の懇談では周りの情勢を見ています的な返事ばかりで打開策に悩んでいました。そこに降ってきた区長の発言に大変驚いたものです。インターネットのアーカイブ配信を何度も見返しました。区長としては半年後の選挙に向けて労働団体の支持を期待してのことだったのかもしれません。区労連議長・東京土建台東支部委員長としては少々面白くない部分もありましたが、仲間や区民のために条例を大きく広げる運動を強めます。

非正規守る条例 賃金・処遇に規制働く

【東京公務公共一般労働組合・書記長・松崎真介記】公契約条例の制定が都内自治体でも広がっています。これは、自治体に直接雇用される非正規職員(以下、会計年度任用職員)の賃金にも影響を与えています。
 世田谷区の公契約条例では、委託先の報酬下限額が1230円(2023年度)に定められており、同水準額が世田谷区の会計年度任用職員における最低報酬下限額(1234円)になっています。会計年度任用職員の賃金が民間よりも下回らないよう公契約条例の存在により規制が働いている関係です。これは、同じ自治体で運営されている保育園や図書館など公共施設で働く労働者の間で、委託か自治体直営かの違いで著しい賃金格差を生じないようにさせていく上でも大切です。
 公契約条例を巡る今後の課題は、保育園や学童クラブ、図書館など、専門的な職種が働いている委託先職場で働く労働者には、職種ごとの専門性や責任に応じた職種別賃金を定めていくことが重要であると考えています。すでに公契約条例が制定されている千代田区、多摩市、国分寺市などでは職種別に賃金を設定している自治体も出てきています。一律に定めた最低下限額とともに、労働の価値に応じた賃金の設定が今後求められます。

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