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各国の政府代表らと核廃絶を決意 戦後80年の原水禁世界大会
2025.08.20

 戦後・被爆から80年を迎える今年、ロシアによる核の威嚇や、アメリカも関与したイラン核施設への攻撃など、無法な行為が繰り返されています。一方で、2021年に発効した核兵器禁止条約は、93カ国が署名し国連加盟国の半数に迫る勢いです。日本国内でも、条約への参加を求める意見書を採択した自治体が4割を超え、世論と運動が核保有国を追い詰める確かな力となっています。

 原水禁世界大会2025には、条約を力に情勢を打開しようと、多くの労働組合員や市民、各国政府の代表などこれまでにもまして多くの人々が結集しました。

核廃絶へ壮大な運動を(広島大会)

 8月4日(月)~6日(水)まで広島市にて開催された「原水爆禁止2025年世界大会(広島大会)」に東京地評から2名を派遣しました。8月4日の「被爆体験の継承と未来―被爆80年広島のつどい」が広島県立総合体育館・グリーンアリーナで開催されました。「被爆者からの証言」や「広島の被爆者団体代表によるリレーメッセージ」、広島の地域運動より「広島市立基町高校卒業生による原爆の絵の取り組みと思い」などが発言され、核兵器廃絶運動をさらに広げる必要性が強く打ち出されました。

 8月6日のヒロシマデー集会には、会場2800人・OL750人の全体3550人が参加。広島市長のあいさつ(代読)、田中聰司日本被団協代表理事のあいさつなどがあり、連帯あいさつでは梶田隆章前日本学術会議会長からメッセージが寄せられました。最後に広島決議(案)「広島からの呼びかけ」が提案、採択されました。

世界の代表者が集う歴史的な大会に(長崎大会)

 2025年8月7日(木)から9日(土)まで長崎市で開催された「被爆80年・原水爆禁止世界大会2025(長崎大会)」に、東京地方労働組合評議会から5名の役員を派遣しました。

 8月7日には「被爆体験の継承と未来―被爆80年長崎のつどい」が長崎市民会館体育館にて開催されました。上映された貴重な映像や写真、体験談によって会場は満席に近い熱気に包まれ、原爆の記憶を未来へつなげる意義が強く打ち出されました。

 大会最終日、8月9日(土)午前、長崎市民会館体育館で「ナガサキデー集会」が開かれ、3200人が参加しました。セッションⅠでは「核抑止」論の転換を迫る議論が展開され、フランス、米、マーシャル諸島、韓国の代表らが、核抑止の破綻と非核安全保障の必要性を訴えました。
 セッションⅡ(「核兵器禁止条約に参加する日本を—草の根の運動交流」)では、全国の高校生や青年の活動報告があり、東京からも「署名に取り組む」「被爆の証言を継承する」といった決意が紹介されました。また、南西諸島の軍事強化に抗する運動の報告もあり、地域・国際を越えた運動の広がりに触れる場となりました。
 本大会の長崎決議(長崎決議)が採択されました。被爆者の証言や核抑止への批判、日本政府の姿勢への問題提起、核兵器禁止条約の推進、署名運動、自治体意見書、国際共同行動の呼びかけなど、具体的な行動提言をともなう力強い声明でした。


参加した青年メンバーの感想

言葉を失った被爆証言

 原水禁世界大会に参加し、被爆者の証言を直接聞くことができました。被爆80年の大事な節目にこのような機会を設けていただき、ありがとうございました。焼けただれた子どもや家族を探し歩く人々の姿、その痛みと怒りは、言葉を失うほど重いものでした。いま、核兵器廃絶を願う被爆者の声を受け継ぐのは、私たち労働者であり、そして若い世代です。

 核のない社会は、「働く者が安心して生きられる社会」そのものです。青年部だからこそできる学習やフィールドワーク等に取り組み、職場や地域の仲間にこの現実を伝え、共に行動を広げたいと思います。核抑止に依存する日本政府の姿勢を変えるため、政治を変える運動にも力を尽くしたいと思いました。

(青年協事務局長・松井優希)

「平和」が労働組合の基礎とあらためて確信

 今回、初めて原水禁世界大会に現地参加しました。学校教育や平和行動で、被爆の実相をはじめ、戦争がいかにむごたらしく命を奪うものか、その根底に国家・資本の無策があることは言葉で知っていたつもりでしたが、直接長崎を訪れ、被爆者一人ひとりが葛藤を乗り越えても語り継ごうとする姿に、強く心を打たれました。

 特に印象に残ったのが、労働組合運動がいかに戦争被害者に支えられ、そして本人を勇気づけてきたかということです。被爆とその後の窮乏から、生協・大学労組での活動を積極的に行った田中煕巳さん、労働組合の力があってこそ世界での活動をすすめられると語る田中重光さん、労組の先輩と参加した安保反対運動の熱量に、行動することへの確信を得た今道忍さんなど、口々にその想いが語られる姿から、戦争被害者が牽引してきた労働組合は安易な軍拡論に決して負けず、絶対に戦争に反対し続けなければならないと、想いを新たにする集会参加となりました。

(青年協議長・新倉大輔)

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