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公教育としての私学振興と学費負担軽減に向けて 【私大淘汰政策は中止を】 
2025.09.08
戦後80年、私学振興助成法50年の節目に

 【東京私大教連・山﨑真理子書記次長記】戦後80年、私立学校振興助成法の制定から50年の節目にあたる今年、政府は、高等教育の主たる担い手として戦後社会に多大な役割を果たしてきた私立大学を、強権的に淘汰する政策を前面に打ち出し始めました。
 文科省は、中央教育審議会答申「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築」(2025年2月)を公表後、その具体化を進めるための会議を設置しました。2025年7月28日には、「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」が中間まとめ「社会とともに歩む私立大学の変革への支援強化パッケージ(案)」(以下、「中間まとめ」)を発表しました。

私大助成を求め国会請願行動(3/13 立憲・しもの衆院議員事務所にて)
私立大学の存在を貶める「中間まとめ」

 私立大学は、学生数・学校数ともに7割以上を占め、日本の学生の4人に3人が学ぶ場として大きな役割を担ってきました。
しかし「中間まとめ」では、私立大学は戦後の高等教育において国立大学を「補完」してきただけの存在と位置づけています。地方で一定の人材を育成する私大と、高度な研究を行う一部の私大だけを残し、あとは再編・淘汰していくという考え方は、あまりにも乱暴です。
 さらに中間まとめでは、「従来の私学助成について一律の配分から、メリハリ・重点化への転換を図る」と明記されました。もし従来の一律配分が根底から変わるならば、大問題です。

弱体化される私大助成制度

 私大助成制度は創設当初、「経常費の2分の1補助を早期に実現する」という政策目標を掲げていました。
 しかし、1980年度に29・8%をピークとした後、2022年度には8・6%にまで低下しています。私大助成の絶対的な不足が私大の経営を不安定にし、学費の高騰をもたらしています。高額費のもとで、学生はアルバイト漬けの生活を強いられ、学費負担者である学生・父母らの暮らしを追い込んでいます。私大助成を増やせば、学費を下げることができます。

淘汰政策ではなく助成の拡充こそ

 東京私大教連は政府・文科省に対し、私大淘汰・分断政策をやめ、公教育機関である私立大学への補助増額と、過重な学費負担を強いられる学生への経済的支援の拡充を求めています。

請願署名へのご協力を

 今年も請願署名運動に取り組んでいます。私大助成の大幅な増額によって、未来の労働者となる学生の学費負担を軽減し、誰もが充実した学生生活を送れるようにすることを求めています。
 東京地評加盟組織には8月、私大助成国会請願署名への協力要請と署名を郵送しました。秋の臨時国会で提出します。ご協力を心よりお願いいたします。

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