東京地評が事務局長団体の憲法東京共同センターと東京憲法会議は12月8日(月)、ラパスホールで防衛ジャーナリスト・半田滋氏、東京憲法会議・田中章史事務局長を講師に迎えて全都学習集会を開催し、92人が参加しました。以下、学習会での半田氏、田中氏の講演をまとめて掲載します。

防衛ジャーナリスト・半田滋氏
台湾有事は法的に成り立たない
「そもそも台湾は日本にとって国ではない」。1972年の日中共同声明で、日本は中国の「台湾は不可分の領土」という立場を“理解し、尊重”しています。したがって「台湾有事は存立危機事態」など、本来あり得ません。ところが政府は、「米軍が来援するなら、それを攻撃する中国軍との衝突が起きる」「米軍の打撃力が損なわれれば日本の存立が脅かされる」と拡大解釈を進めてきました。そして高市首相は11月国会で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と歴代首相ではじめて日本が戦争に参加する口実となる存立危機事態について答弁しました。
しかし太平洋の向こう側にあるアメリカが攻撃されたからといって、日本の存立危機になる理屈などどこにもありません。
米国に乗っ取られる日本の安全保障
安倍政権の安保法制で、自衛隊は「海外で武力行使しない」という憲法の歯止めを失いました。岸田政権はさらに敵基地攻撃能力の保有を決め、「日本はアメリカとともにある」とまで国会で言い切りました。そして高市首相のもとで憲法は空文化し、日本の安全保障政策は米国に乗っ取られ、自衛隊は米軍と完全に一体化しようとしています。
軍事費GDP比2%突破 天下り先の給料も国民が負担
軍事費はわずか数年で5兆円台から8兆7千億円へ膨張。トマホーク大量購入、国産ミサイル射程の1000~3000キロ級への延伸、自爆型ドローン導入など、攻撃的兵器への支出が続きます。しかも、防衛費の基準となる為替レートを137円から108円へ操作して43兆円を作りました。実際には50〜60兆円規模に膨れ上がる見通しです。
その一方で、三菱重工など大手防衛産業の受注は数千億から1兆円台へ跳ね上がり、株価も4倍に。受注企業に防衛官僚OBが高給で天下る構造が続き、武器代金に上乗せされ国民が負担しています。
南西諸島はすでに 戦場の前段階
台湾有事が語られるなか、最初に犠牲となるのは南西諸島の住民です。与那国島ではすでに医師派遣中止、薬局閉鎖、特養の閉鎖が続き、生活インフラが崩壊しつつあります。さらに、政府が民間空港・港湾を軍民共用化することで、ジュネーブ条約上、攻撃対象となります。
米シンクタンクCSISの台湾有事シミュレーションでも、戦場となるのは中国本土ではなく台湾と日本であることが明らかになりました。在日米軍基地や港湾、空港が攻撃され、日本は壊滅的打撃を受けます。
軍事で平和はつくれない
軍事で平和は守れません。国民の生活と安全を守るには、命をかけた外交しか存在しないのです。日本はASEANや韓国と連携し、対立を止める外交努力に踏み出すべきです。


