2026年東京都最低生計費試算調査を再計算
東京地方労働組合評議会(東京地評)は、2025年に公表した「東京都最低生計費試算調査」について、その後の物価高騰を反映した再計算を行いました。
その結果、2026年4月時点で、25歳の若者が東京で一人暮らしをしながら健康で文化的な生活を送るためには、月額およそ28万~30万円(税・社会保険料込み)が必要となることが明らかになりました。
最低賃金は少なくとも時給1,700円以上、さらに人間らしい労働時間で生活するためには、時給2,000円程度が必要です。
東京で普通に暮らすには月28万~30万円
東京地評では2019年、「東京で労働者が普通に暮らすためには、どのくらいの費用が必要なのか」を明らかにするため、最低生計費調査を実施しました。
その後のコロナ禍や物価高騰を受け、2025年5月には消費者物価指数を用いて物価上昇分を反映したアップデートを実施。今回、さらに2025年から2026年にかけての物価変動を反映し、2026年4月時点の最低生計費を再計算しました。
再計算の結果は次のとおりです。
| モデル地域 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 世田谷区 | 29万9,499円 | 28万9,655円 |
| 北区 | 28万8,663円 | 27万8,819円 |
| 杉並区 | 29万7,517円 | 28万8,673円 |
※25歳・単身者モデル。税・社会保険料込み。
食費や家具・家事用品費、交通費などが上昇する一方、政府による補助金や減税措置などによって減少した項目もありました。税・社会保険料を除いた必要生計費で比較すると、前回試算から平均1.5%上昇しています。
最低賃金1,226円では生活費をまかなえない
東京都の最低賃金は2025年10月に63円(5.4%)引き上げられ、時給1,226円となりました。また、10月からは54円引き上げられ、1,280円となる見通しです。
しかし、今回の最低生計費の再計算結果と比べれば、現在の最低賃金は依然として低い水準にあります。
東京で普通に生活するためには、最低賃金を少なくとも時給1,700円以上に引き上げる必要があります。さらに、長時間労働を前提とせず、人間らしい労働時間で生活できる賃金を考えれば、時給2,000円程度の水準が必要です。
「1500円」では足りない――達成時期の前倒しを
政府は最低賃金1,500円の達成時期を「2030年代前半」としています。
しかし、今回の試算結果が示しているのは、そもそも時給1,500円では、東京で健康で文化的な生活を営むには十分ではないということです。
物価高騰が続くなか、1,500円への引き上げを2030年代まで待つのではなく、達成時期を大幅に前倒しするとともに、その先のさらなる最低賃金引き上げを進めることが必要です。
全国一律の最低賃金制度を
最低生計費調査は東京だけでなく全国各地で行われています。これまでの調査からは、地方では住居費が低い一方で、自動車の維持費などが必要になるなど、生活に必要な費用には大きな地域差がないことも明らかになっています。
ところが、現在の最低賃金は都道府県ごとに異なっています。
どこで働いていても、人間らしい生活を営むために必要な費用は大きく変わりません。東京地評は、最低賃金の大幅引き上げとあわせて、全国一律最低賃金制度の実現を求めています。
賃上げとともに実効ある中小企業支援を
個人消費は国内総生産(GDP)の5~6割を占めています。労働者の賃金を引き上げ、消費を活性化させることは、首都東京だけでなく、日本経済全体にとっても重要です。
最低賃金を全国一律で大幅に引き上げるとともに、その実現に向けて、中小企業が賃上げできる環境を整える必要があります。
東京地評は、国と東京都に対して、社会保険料の事業主負担軽減や賃上げへの直接助成など、実効性のある中小企業支援策を抜本的に強化することを求めます。
最低生計費調査とは
最低生計費調査では、主に東京地評に加盟する各単産・ユニオンの労働者などを対象として、日々の生活パターンを調べる「生活実態調査」と、生活に必要な物品をどの程度所有しているかを調べる「持ち物財調査」を実施しています。
その結果を精査し、食費、住居費、衣服、家具・家事用品、交通・通信、教養・娯楽など、生活に必要な費用を一つひとつ積み上げる「マーケット・バスケット方式」によって、最低生計費を算定しています。


