HOME労働相談の事例集25年度労働相談のまとめ 「パワハラ」なお高止まり
労働相談の事例集
25年度労働相談のまとめ 「パワハラ」なお高止まり
2026.08.19

東京地評労働相談センターは、働き方に関することやパワハラ・セクハラなどの労働相談ホットラインを平日10時~17時に開設しています。本記事では、2025年度に寄せられた804件の労働相談をもとに、相談者や業種、相談内容の特徴について紹介します。【東京地評労働相談センター局長・尾林哲矢記】

電話で相談する方
☎ 0120-378-060
月曜〜金曜 10時〜17時
労働相談は年間804件

2025年度に東京地評労働相談センターへ寄せられた労働相談は、804件(前年度837件)でした。

年度別 労働相談件数の推移

2021年度
1,420件
2022年度
1,328件
2023年度
1,035件
2024年度
837件
2025年度
804件

出所:東京地評労働相談センター「2025年度労働相談報告」

相談件数は、2021年度の1,420件、2022年度の1,328件、2023年度の1,035件、2024年度の837件と、近年減少傾向にあります。

相談の多くは、東京地評や全労連のホームページなどを通じて寄せられています。インターネットで相談窓口を検索する人も多く、今後はSEO対策を含め、労働相談窓口をより多くの人に知ってもらう取り組みが必要です。

女性、40~50代からの相談が多く

相談者の特徴を見ると、女性からの相談が55%と男性を上回りました。また、年代では40~50代からの相談が多く、雇用形態では正規雇用が51%を占めています。

年代と性別を組み合わせてみると、50代女性、40代女性、30代女性の順に多く、これに40代男性、50代男性が続きました。

こうした傾向は例年と大きく変わっていません。

「情報通信業」が最多

業種別では、「情報通信業」が96件(11.9%)で最も多く、「卸売業・小売業」91件(11.3%)、「医療・福祉」84件(10.4%)と続きました。

業種別 労働相談件数 TOP10

2025年度に寄せられた労働相談804件を業種別に集計

情報通信業
96件
卸売・小売
91件
医療・福祉
84件
その他サービス
73件
生活関連・娯楽
59件
宿泊・飲食
45件
製造業
43件
運輸・郵便
41件
その他
35件
教育・学習支援
28件

出所:東京地評労働相談センター「2025年度労働相談報告」

これまで相談の多かった医療・福祉に加え、2025年度は情報通信業からの相談が目立ちました。IT業界には比較的新しい企業や労働組合のない職場も多く、インターネットなどを通じて相談先を探す労働者が増えていることも背景にあると考えられます。

さらに業種を細かく分類すると、「情報・インターネットサービス」が68件で最多となり、「飲食」と「医療」がそれぞれ41件、「飲食料品小売」と「介護」がそれぞれ27件、「地方公務」が21件となりました。

業種によって異なる相談の特徴

相談内容を詳しく分析すると、働く業種によって異なる特徴が見えてきます。

情報・インターネットサービスでは、相談者の73.5%が正規雇用で、約7割が労働組合のない職場で働いていました。相談ではパワハラが28%と最も多く、心身不調が13%、未払い賃金・労働条件変更・配置転換がそれぞれ12%でした。人事評価制度をめぐるトラブルや、低評価、退職勧奨、PIP(業務改善計画)などに関する相談も寄せられています。

飲食業では、パート・アルバイトが44%を占め、若年層からの相談が目立ちました。パワハラと未払い賃金がそれぞれ29%と多く、長時間労働や労働条件変更、シフトをめぐる問題も寄せられています。小規模店舗での労務管理上の問題が目立つことも特徴です。

医療では、相談者の83%が女性で、正規雇用が61%を占めました。相談内容ではパワハラが34%と突出し、未払い賃金も20%にのぼります。小規模クリニックなどでは、経営難を背景とした勤務日数の削減や労働条件の切り下げ、人手不足による過重な業務負担などの相談も寄せられました。

介護でもパワハラが37%と多く、心身不調、未払い賃金、労働条件変更などが続きました。ハラスメントだけでなく、利用者への対応や介護の質にもかかわる深刻な相談も寄せられています。

このほか、飲食料品小売では、大手スーパーなどで働く50代女性のパート労働者からの相談が目立ち、人事評価や業務負担、賃金への不満などが寄せられました。地方公務では女性が相談者の90%を占め、パワハラのほか、非正規職員の雇止めや心身不調などの相談がみられました。

相談内容では「パワハラ」が最多

相談内容別では、「パワハラ」が211件(14.0%)と突出して多く、「労働条件変更」が101件(6.7%)、「未払い賃金」が99件(6.6%)、「心身不調」が98件(6.5%)、「契約書・就業規則」が96件(6.4%)と続きました。

相談内容別 労働相談件数 TOP10

2025年度の労働相談を相談内容別に集計

パワハラ
211件
労働条件変更
101件
未払い賃金
99件
心身不調
98件
契約書・就業規則
96件
その他退職
86件
解雇
73件
年次有給休暇
51件
その他賃金
50件
その他休暇・休職
43件

出所:東京地評労働相談センター「2025年度労働相談報告」

ハラスメント防止については、労働施策総合推進法の改正により、2022年4月からすべての企業に対策が義務付けられ、社会的な認識は広がっています。

一方、日本ではハラスメント行為そのものを禁止する包括的な規定はなく、被害をなくしていくためには、職場でのハラスメントを防止する取り組みとともに、実効性のある法整備が求められます。

労働相談から職場を変える力へ

今回の集計からは、同じ労働相談でも、業種や雇用形態によって抱えている問題が大きく異なることが見えてきました。

とりわけ、IT、飲食、医療、介護などでは、職場に労働組合がないケースが多く、一人で問題を抱えた末に外部の相談窓口へたどり着く労働者も少なくありません。

労働相談を一人ひとりの問題解決だけで終わらせず、相談から見えてきた共通の課題を職場や業界全体の問題として捉え、労働組合への組織化や制度改善につなげていくことが重要です。

東京地評労働相談センターでは、引き続き労働相談を受け付けています。職場で困っていることがあれば、一人で抱え込まず、ご相談ください。

関連タグ:なし
掲載年