HOME労働相談の事例集■第192回 オルグの現場から 158 権利行使をしっかりするためにも労働組合へ
労働相談の事例集
■第192回 オルグの現場から 158 権利行使をしっかりするためにも労働組合へ
2020.11.15

女子大4年生のEさん。

 内定をもらった企業から、いきなり内定取り消しの郵便物(書類の内容で合意すれば違約金を払うとのこと)が来た。
 なぜ内定取り消しをされないといけないのか、会社と話したいという相談。募集から就労までの経過を法律的に言い換えると、募集は労働契約の申し込みの誘引、応募・採用試験の受験は労働契約の申し込みとされる。
 会社から応募者への採用内定通知書の送付は、申し込みに対する承諾となり、応募者が承諾書や契約書を提出することによって、労働契約が成立する。
 内定の段階で労働契約が成立している場合、取り消すには客観的・合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる具体的な事情がある場合のみ許されるとの判例もあり、企業側の誠意ある説明や対応が求められる。所轄の労働相談情報センターへ相談することを勧めた。

レンタカー会社にてパートで働くFさん。

 会社から雇用契約終了と言われたが、どうしたらいいかという相談。
 2013年4月以降に結ばれた有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、条件(同じ事業者の下で通算期5年を超えて働いているなど)を満たせば、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換することになる。
 この4月に無期転換の申し込みをすべきだったと思う、今からでも交渉して無期雇用への転換を求めるべき、と地域労連を紹介した。

後日談。

 Fさんの相談を受けた地域労連が会社と交渉した結果、会社は契約終了を撤回して無期雇用を認めるとともに、東京都の最低賃金以下だった時給を見直して改善することで合意した。

小原正幸(東京地評労働相談員)

関連タグ:なし
掲載年