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生活実態調査アンケート結果から見えてきた2つの特徴
2023.01.20

東京地方労働組合評議会 鎌田建

1.はじめに

 東京地評は、労働組合未加入の労働者・国民の生活実態と要求をアンケートから掴むとともに、生活を支援するための生活実態調査型フードバンク「ホッとねんまつ おこめフードバンク」を2022年12月26日に開催した。今回は、来場者アンケート(102人)の結果から見えてきた特徴を掲載する。

2.概要

 東京地評は2022年12月26日(月)16:30~19:00、東京労働会館内(東京都豊島区南大塚)で生活実態調査型フードバンク「ホッとねんまつ おこめフードバンク」を開催した。会場には69人が来場(当日66人、後日取り置き3人)し、うち44人がインタビューに協力した。来場者全員に、白米260キロ、りんご50キロ、みかん50キロをはじめ、「小豆沢・志村フードバンクの会」からの寄付品を配布した。

3.来場者アンケートから見えてきたもの

 来場者アンケートには102人が回答した。回答者の100%が東京23区在住で、85.3%が女性だった。40代が44.1%と一番高く、次いで50代が23.5%、30代が22.5%、20代が4.9%だった。本アンケートの結果から析出された2つの特徴を提示する。

特徴① 物価高騰による生活困窮は衣食住を脅かすほど

 生活実感についての問いには、「大変苦しい」(49.5%)と、「やや苦しい」(46.5%)をあわせて96.0%が「苦しい」と回答。「普通」と回答したのは4%で、「ややゆとりがある」、「ゆとりがある」と回答したのはいずれも0%だった。

 生活が「苦しい」と回答した人(96%)のうち、物価高騰下での対策を尋ねたところ、買い物の頻度や買う品目を減らすなど「買い物を控えている」が37.3%で一番高く、次いで暖房を使わないなどの「節電をしている」が14.7%、食事の回数や品目を減らすなどの「食事を減らしている」が12.7%となった。

 また、当日来場者に対して実施した、物価高や生活改善要求に関するインタビュー(44人が協力)では、物価高騰や生活苦を嘆く声がいくつも寄せられた。

  • 「物価高で子どもに野菜を食べさせられません。それでも『今度ね』と叶わない約束をしてしまう自分に腹が立ちます。(40代女性・情報サービス業)」。
  • 「自営業で多額の税金がのしかかり、生活が厳しいです。電気代や食費があがったので、自転車で2駅移動し、安いものを買いに行くことで交通費を浮かせています。防衛費をあげるといいますがこれ以上税金をあげないでほしいです(40代女性・自営業)」。
  • 「物価高で牛肉を買うのをやめました。トイペは質素なものにして、スーパーで買う品目を減らしました。児童扶養手当を引き上げてほしいです(30代女性・失業中)」。

 以上のことから、物価高騰による生活困窮は深刻化しており、衣食住を脅かすほどであることが分かった。そしてそれは、とりわけ来場者の属性である30~50代女性に表れていることも特徴である。

特徴② 春闘での大幅な賃金引き上げは労働組合未加入者の願い

 「あなたは、2023年春闘でいくらの賃上げを要求しますか?」の問いには、「5万円」が一番高く、賃上げ要求額の平均は3万7763円となった。これは、国民春闘共闘委員会が23春闘統一要求として掲げる「月3万円以上の賃上げ」と近い数字であることから、労働組合加入者も、労働組合未加入者(来場者)も、賃金引き上げ要求は同じであることが分かった。

4. 小括 賃金の大幅引き上げこそ求められる

 国民の衣食住が脅かされる中、物価高騰による生活困窮を解消するのは大幅な賃金の引き上げである。労働組合と対比される経団連の経労委報告でも、物価高の水準を超えることを念頭に、「企業の社会的な責務」として大幅な賃金引き上げを求めている。

 私たち東京地評をはじめとした労働組合も、広範な労働者と経営者、国民と連携しながら、大幅な賃金引き上げの波を作り出すための「国民春闘」を展開していく必要がある。

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