物価高に追いつかない伸び率 周知と再改定宣伝を進めよう
東京の最低賃金は1163円(前年50円増/4.49%)で10月1日改定となりました。物価が高止まりする中、大幅引上げが切望されましたが目安額に上乗せはありません。一方で東京地方最低賃金審議会は今年初めて専門委員会を一部公開し、東京地評の要請が実を結びました。最賃改定率が公務賃金や翌年の春闘に影響を及ぼしています。高まる賃上げ世論を秋季年末闘争につなげましょう。
最賃改定の概括
地方の嘆き高まる
今年度の最賃改定ではランク別の破たんが浮き彫りになりました。前年、地域間格差是正として、4ランクから3ランクに縮小したものの今年度は全ランク目安を同額とし、事実上「ランク制度」が機能不全となりました。背景には『格付け』が人材流出を加速させ、深刻な地方経済衰退を引き起こしている、地方の苛立ちが噴出したものです。
岩手、徳島、佐賀県知事は審議会に意見書を提出し、地方が抱える若者の人材流出と経済の地盤沈下、地域経済再生に向け、最賃大幅引上げを求めたのは一例です。結果27県(前年24)が目安額を上回り、全国加重平均は1055円になりました。一方、ランク上位の引上げが抑制され、東京は2013年以降、目安額通りが続いています。
制度疲労鮮明
格付け時代遅れ
また全国的に「隣の県よりも高く」を競う傾向が広がりました。答申が最後となった徳島県(34円)と岩手県(9円)は、目安を大幅に上乗せし前年度最下位と2番目に低い順位を上げました。最下位となった秋田県の関係者は「先に決めたところが損をする」「目安どおりに上げることがフェア」と改善を訴えています。そもそも最賃法では生計費や事業者の支払い能力を改定要素としています。「生計費」に基づく論議が尽くされたかには疑問が残ります。『格付け』制度をなくし全国一律制度に舵を切ることが求められます。
マスコミ厳しく批判
内部留保を賃上げに
令和5年法人企業統計調査を公表され、「内部留保(利益剰余金)」(金融・保険業除く)は600兆9857億円(8.3%増)、12年連続過去最高を更新しました。マスコミは、利益増は企業の「賃上げ」や中小企業との取引適正化の取り組みが不十分だったものとし、批判しています。
国民春闘・夏季一時金は単純平均月数1.91月(前年比0.02月増)、しかし手放しで評価できる水準ではありません。最賃で作り出された賃上げ世論を力に秋季年末闘争、一時金大幅獲得、そして25春闘につなげましょう。