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「私の職場だと胸をはりたい」理不尽さ、横暴 けっして諦めない【新年号特集・たたかう女性たち】
2025.01.01

 たたかう労働組合だからこそ私たちは、「声をあげること、続けること」の困難さを知っています。そんな中でも「おかしい、なぜ」と、まっすぐに前を見つめて立ち上がった女性の仲間たちです。

 私たちを襲ったコロナ禍というパンデミックに、看護部長として「ワクチン接種」や「発熱外来」と地域に必要な医療体制を構築し、現場を率いた岩渕美和子さんは、入職から5年目を迎える、まさに有期雇用から無期転換にかわるタイミングの2024年4月1日に強行された雇止め・解雇に対し、CUみなとの仲間たちの支援を受けて職場復帰を求め闘っています。

☆雇止めまでの経緯

 岩渕さんは、院長自ら「看護部を立て直したい」と請われ、2019年4月1日に港区にある古川橋病院に看護副部長として1年ごとの有期雇用で入職、1年後に看護部長に昇格し、コロナ禍の中、看護師の離職率を減らし、病床の稼働率も増やし、黒字運営に貢献をしてきたにもかかわらず、2023年12月に院長から一方的に契約終了を告げらたのです。

 「一瞬、時間が止まりました」と岩渕さん。しかし、何ひとつ理解できないときっぱりと拒否し、周りへのこれまでの不当な扱いを含め信頼できる職場の仲間に相談したところ、組合を勧められ、2024年1月にCUみなとに加入。2月に古川橋病院厚生全分会を結成し、2月13日と3月5日の団体交渉で雇止め撤回と雇用の継続、雇止め理由の説明を求めましたが、病院側は「契約終了の合意は岩渕(さん)とできている」と繰り返し、団体交渉のたび病院側の主張が変わる不誠実さで、院長自ら「3回目までに意見をまとめ(組合)に送る。日程は電話で決めましょう」といった約束を守らず、4月1日に岩渕さんが出勤すると玄関で事務部長が「団体交渉は生産性がない」と雇止めを強行しました。

ビラの受け取りは倍に

 解雇通告後も厚労省の監査対応のため、病院近くに泊まりこむなど献身的に業務を遂行し、誠実な医療者であろうとする、岩渕さんをせせら笑うような仕打ちに、組合は、その場でスタンディングとビラ配布を開始、4月から月2~4回の病院前宣伝をこれまでに重ね、一度は岩渕さんと距離を置いたかにみえた人も、病院内からビラを取りにくるなど、受け取り枚数は倍に増えました。

患者さんが第一の病院へ 原動力は仲間と組合
裁判にのぞむもの

 岩渕さんは根本的解決にならない金銭解決を選ぶ背中を管理職として見せられないと、職場復帰を求め7月に病院を提訴、これまで3回の期日がありました。「患者さんの利益を第一に、尊厳ある信頼される看護のための協力体制を構築しようと多くの職員とマインドを共有すべく、話し合いを重ね、自らプレイヤーになり、先頭に立ってきました。私たちが誇りをもち働く職場を実現することは、患者さんの満足と地域貢献につながり、病院側もプラスのはずです」。

組合に入ってみて

 平和や憲法などの社会問題や地域課題にも取り組む姿に「医療という世界で生きてきた視野が変わりました」と岩渕さん。「もっと若い人に困ったときに、本当に助けてくれるのは組合だと知ってもらって、身近な存在であってほしいです」。

 契約終了を告げられてから約1年、雇止めになって8カ月、裁判はお互いの主張をのべている段階で、長い闘いが続いています。ないことばかりが書かれた相手方の書面には「心にダメージを受けますが、精神的にきつければ組合事務所で過ごすといいよといった気遣いなど組合の支えは大きいです。職場に戻っても活動を続け、仲間をふやしていきたい」と話す岩渕さんに、CUみなとの事務局長の髙橋孝さんは「孤軍奮闘となる労働争議は多いけれど、岩渕さんには職場に信頼できる仲間がいる、そのことが彼女を勇気づけているのだろう」と語ります。

 岩渕さんは「組合を通じ、多くの場所でこの闘いを知ってもらう機会を得て、裁判期日には仲間であふれた傍聴席に励まされ、宣伝行動などを通じて、病院内部で理解が深まっている実感は、自分を動かす原動力となっています。私は闘いに勝って、ここが私の職場だと胸をはりたいのです」。


新年号で【たたかう女性たち】特集しています。

https://www.chihyo.jp/?p=6060

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