2004年、どの組合も第一の課題として組織建設・拡大が位置づけられています。
そこで、建設、航空、出版の各産業で奮闘されている方々にお集まりいただき新春座談会をおこないました。

「組合員が実利実益を勝ち取れるように」(告坂真二さん、東京土建一般労組書記長)

 高畠 あけましておめでとうございます。東京地評は、昨年の大会で五〇万組織を展望しようと打ち出しています。そうした中、多くの組合で産業別の個人加盟組合が組織的にも前進している姿が見えます。今日は、その代表として皆さんに来ていただきました。最初にこの一年を振り返って、各々の組織拡大の特徴や教訓など、自己紹介と合わせて語っていただきたいと思います。最初、東京土建の告坂さんからお願いします。
 告坂 おめでとうございます。東京土建書記長の告坂です。私たち東京土建は建設職人の労働組合で、大きく春と秋の拡大月間があって、昨年は年間約13%の拡大目標を達成し、11万7千人になりました。特徴っていうのはですね、私どもは、かつて97年に12万3千余の峰を築いたのが最高時なんですね。それ以降は四年連続で後退しましたが、一昨年が60名増勢で、昨年が1000名増勢と、新たに増勢に向かうことができました。そして共済制度や国保制度を中心とした助け合い制度のあらゆるメニューを新たに開発して、組合員が実利実益を勝ち取れると、こういう月間をやったということが特徴じゃないかと思います。
 高畠 はい。つづいて航空連の諏訪さん。
 諏訪 航空連で事務局長をやっている諏訪です。私たち航空労組連絡会は民間航空で働くパイロット、スチュワーデス、地上職などの組合で構成する団体で、今1万3千人ですけれども、減っています。これは企業内の正社員中心の労働組合なんで、正社員がどんどん減ってくのに連動しています。
もう一つは、JALとJASがくっついてしまうということから、従来の企業内組合で再編が必然的に必要になってくるという問題ですね。また、新たな下請け企業だとかがどんどん作られているんですが、なかなか食い込んでいけない、ということもあります。未組織の部分に関しては、昨年の四月に個人加盟労組スカイネットを結成したんです。
これ迄は、従来の組合に入ってくれといっても、やっぱり会社が違うとなかなか入れないということで、規約を変え、枠を広げましたが、それでもなかなか入ってくれない。やっぱり敷居が高いとか、企業内組合というイメージが強いのでしょうか。そこで、もう思い切って個人で企業の枠をこえて入れる組合をつくったのです。それは、活動家の定年退職者に手弁当で協力を取り付けて、結成することができた。作ってみたら2ヶ月で100人に到達しました。やってみたらすごかったですね。
 高畠 ありがとうございます。では、出版労連の住田さん。
 住田 出版情報関連ユニオン書記長の住田です。いま出版業界は産業的に下り坂で、出版労連全体で1万人を割っている状態です。出版産業っていうのは一つひとつの企業としては規模は小さいんですね。出版社は、日本に約4千社あるっていわれていますけど、その中の80%以上が従業員数50名以下の企業です。95年の「新時代の日本的経営」以降、派遣労働者とか、有期雇用の労働者が相当増えてきたこともあって、2002年に出版情報関連ユニオンを立ち上げました。スタートしたときは80人くらいでしたけれど、この二年間で160人に増えました。

「個人加盟の組合だとすぐにはつぶされない」(諏訪幸雄さん、航空労組連絡会事務局長)

 高畠 だいたい、どういうところで、入ってくるものなんですかね。
 告坂 拡大は、だいたい人と人のつながりが七割ですね。私どもは、建設産業の個人加盟の地域別組織ですから、いわゆる非正規労働者が大半なんです。そこで、基本的に企業がやっている企業内福祉を私たち組合がやらざるを得ない仕組みがあるわけです。ですから、私どもは自前の国民健康保険組合とか共済組合を立ち上げて、組合の収入と、会費収入と国からの補助金で運営しているわけです。中でも土建国保が大きな目玉になっていますね。それと、休んだら一万円の休業補償や、各種共済、あっせん事業など、組合に入っていると大きなメリットがあると。
 高畠 先ほどの航空連のスカイネットですが。
 諏訪 拡大のきっかけは、やっぱり労働相談が多いですね。組合員が近くで働いている人にちょっと話を聞いてそれで、紹介してくるというか、そこが今のところ多くて。ビラを作って2万枚ぐらい配布しましたけども、それで、2〜3件。でもビラはずっと持っているみたいで。
 高畠 どういう人ですか。
 諏訪 機内の手荷物の搭載とか、ハンドリング業務をやっている人たちですね。これが航空会社の二次下請けとかになるんですよ。そこの人たちだとか、新しい仲間では、外国の航空会社の客室乗務員とか。
 高畠 では、出版の情報関連ユニオンはどうですか。
 住田 九割以上は労働相談で、いま非常に多くなってきているのが、派遣労働とか、有期雇用の雇い止めの問題です。どうしたら定着させられるのかということでは、二〇人くらいのOBの人だとか、現役の組合員を準組合員という名称でオルグ配置をして、その人たちに支部会議につきあってもらっています。そこで学習する中で比較的定着率があがってきた。
 高畠 相談をほとんど解決しているのですか?
 住田 そうですね、出版では経営危機、解雇などに次いで、残業と年休が守られてないという相談が多くて。航空会社はどうなんですか。

「東京地評は50万組織を展望して新たな検討を」(高畠素昭さん、東京地評事務局長)
 諏訪 僕らが交渉して、未払いこれだけあるって言ったら、結局は払いますね。それと「この会社で定年まで働くんだよね」って聞いたら「えーっ」「結婚できないですよ」って。そこまで賃金が低い。だから会社の攻撃など、心配しすぎず開き直ってやってます。
 住田 資本的にいうと出版は、これは土建さんと共通するところで、圧倒的に個人資本のところですから、労使ともどもそういう認識がなく働いていたというケースは多いですよね。
 高畠 出版は重層下請けみたいなものはどうですか?
 住田 それはあります。大手の版元からプロダクションにおりて、プロダクションが丸投げで個人に請け負わせるみたいな、そういう構造ですね。そういう点では同じだと思います。
 高畠 土建もそういう下請け構造の中で要求を出していますよね。
 告坂 我々も、労働相談で増えるというケースもありますが、かなりやっかいな問題しか持ち込まれません。とにかく時間と手間が相当かかるということですね。一次下請けが倒産しちゃい賃金支払われていないということで元請ゼネコンに行くわけです。ですから、そういうゼネコンと交渉できる人間というのは、一定程度能力的な交渉力に長けてないとできませんね。

 高畠 個人加盟の組織の形ですけど、出版情報関連ユニオンの場合はいかがですか。
 住田 版元や出版社に勤めている人たちについて言えば、二つの地域支部。それから業種、問屋さん、書店の店員さん。それに中間管理職など非常に多岐にわたった支部構成をして、月に一回会議を開いています。

「有期、派遣の増加に対応して」(住田治人さん、出版労連情報関連ユニオン書記長)
 高畠 一六〇人と言われましたが会社の数でいうと。
 住田 職場数でいま六五職場くらいです。
 高畠 組合費はどうやって集めているのですか?
 住田 組合費は支部ミーティングに持ち込んでくれる人が八割くらい。あとは郵便局の振替と自動引き落としにしています。
 高畠 土建もそうですよね。スカイネットはどうですか?
 諏訪 今のところ成田と大阪に支部があって、東京は本部直轄です。その下に企業単位で分会っていう形をとっています。従来は組合を作ると独立組合になって結構攻撃でつぶされちゃったり、活動困難になったりする例が多かったのですが、いまは簡単にはつぶされない。三人以上いたら分会にしています。組合費は郵便振替とか引き落としで、あとはあえて手集めしているところがあります。
 高畠 会合は月イチ?
 諏訪 そうですね、メールのネットワークが進んでいるので、そのやりとりで会議を代行しているみたいな雰囲気になっていますね。しかし支部会議は定期的にやっています。
 高畠 組合をバックアップし、支えているOB集団は何人ぐらいですか。
 諏訪 二重加盟とOBで30名くらいです。ですから純粋組合員っていうのは70人ぐらい。
 高畠 出版情報関連ユニオンではどうですか?
 住田 情報関連ユニオンでは企業別の組織を完全に無くしてしまったのですよ。それで要求づくり、討議なんかも支部単位で行い、他職場の要求討議も全てクロスさせて、全員参加できるというスタイルにしてしまいました。要求決定権も妥結権もすべて支部が持って、それを執行委員会で統括していくということです。
 高畠 東京土建は、個人加盟では草分け的な長い歴史を持っていますね。
 告坂 うーん、やっぱり他の組合とは随分ちがうなっていう感じですね。まず、企業内闘争っていうのがないっていう問題。つまり成果が出るような賃金運動ということで、リビングウェィジ、とりあえず自治体との関係で公契約条例制定の運動を全都的に力を入れてやっています。個人加盟の点では、基礎組織を「群」と言っていますが、居住地の小さな単位で、15人前後で組織している。ここに月一度集まって顔を会わせ、組合費を持ち寄るっていうことを大切にしています。また、書記は400人ぐらいいるし、役員は支部まで入れれば1500人くらいいますから、そこを軸に運営しているということになりますね。
 高畠 今組織率はどのくらいですか?
 告坂 東京の建設産業の組合対象者が30数万人ですから、組織率は三割強っていうところです。
 高畠 座談会も終わりに近づきました。最後に新年の抱負についてひと言お願いします。
 住田 組織の数の問題で言えば、いまユニオンは160人ですけれど、出版業界の中で一定の影響力を与えられるような、少なくとも500人ぐらいを早期に目指したい。それから要求が多様化していますから、賃金や労働条件だけでなく、職能教育や組合員の交流、イベント、学習などもやれる組合にしたいし、大きくなるためにはその必要があると思っています。
 高畠 では諏訪さん、お願いします。
 諏訪 そうですね、いま航空業界自体が再編で、ものすごい労働条件の切り下げが進行しています。この機に、企業内組合を見直して従来にない組織にしていければと思っています。新しい組織形態のスカイネットがそのきっかけとなってくれればと思います。
 高畠 そうですか。では、最後に告坂さん、ひと言お願いします。
 告坂 とくに私どもは社会保障の要求を大きく掲げています。ぜひ、その運動を大きく発展させていきたいと思っています。それと、四年連続組織が後退しましたが、一昨年から増勢にむかって、2年後には12万の東京土建に回復したいですね。
 高畠 長い時間ありがとうございました。東京地評は、パートや臨時、派遣など非正規労働者の組織化をしようということで、その検討委員会の立ち上げの準備をしているところです。そして数年のうちに個人加盟で1万人くらいを展望できるような組織にしたいと思っています。今日は貴重なお話ありがとうございました。

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