■ アメリカ発の金融危機と日本経済の景気後退を口実に、昨年秋から製造業を中心に派遣や契約社員など非正規雇用労働者の雇い止めや解雇が広がっています。そこで、今年の新春座談会では、非正規労働者や中小企業労働者の組織化をテーマに、建交労東京都本部神田支部執行委員長の江文順一さん、東京公務公共一般江東支部長で江東区労連未組織対策委員の丹木幸美さん、生協労連関東地連副委員長の坪井盛治さんにおいで頂き、新春座談会を開催しました。司会は東京地評伊藤潤一議長にお願いしました。
非正規労働者・中小企業労働者の組織化を


今年の決意を語り合う4人
伊藤 みなさん、新年あけましておめでとうございます。
全員 おめでとうございます。

 銀行の貸しはがしで
   非常に深刻な運輸業界
 (江文さん)

伊藤 新年早々からお集まりいただきありがとうございます。昨年秋から大規模に非正規雇用労働者の雇い止めが始まっています。自動車産業だけでも一万五千人です。また、銀行の貸し渋り、貸しはがしで、中小企業の経営も非常に大変です。一方、自公政権は支持率が三割を切って末期症状になっている。情勢は厳しいですが、日本の政治と社会の大きな転機にあるのではないか。そういう意味では頑張りがいがある年になると考えています。まずみなさんにとって昨年はどうだったかお話しいただきたいと思いますが。
江文さん
江文 私の職場はカンダコーポレーションというトラック運送の職場なので、昨年一番大変だったのは今まで経験したことのないような燃料代の値上がりでした。一二月には落ちてきましたが、トラック業界は九九・九%が中小業者なので、どうしても労働者の賃金を引き下げざるを得ないという厳しい環境です。年末には銀行の貸しはがしで、この産業にはお金を貸さないとなっていますから、非常に深刻な状況がありました。
坪井 そうですね、生協としては餃子事件に関わって大変でした。生協労連としても「食の安全」問題について、「食」のシンポジウムを開いたり、新たな取り組みをやってきました。日生協専務との懇談もしました。私自身は大学労協の事務局次長だったのですが、昨年生協労連の組織拡大担当になりました。引き継ぎも終わり、今は名実ともにオルグということになりました。それと大学生協で働く非正規労働者の労働組合、大学生協ユニオン東京の書記長もしています。昨年六月には、横浜市立大学で三つ目の支部をたちあげました。
伊藤 それでは江東区はどうでしょうか。
丹木 私は江東区役所内の売店で働いています。公共一般江東支部は、一二名で立ち上げて一八年になりますが、今は二七〇名になっています。賃金は昨年、パートで四〇円、非常勤で四・四九%上げました。それと、学童保育は四年に一回、雇用を一度打ち切って試験を受けなおしているんですが、この有期雇用の撤廃運動を中心に活動してきましたね。

 1年間に4000人拡大 委託労働者の組織化 (坪井さん)

伊藤 ところで、非正規労働者は東京都内に二〇〇万人くらいといわれています。全体的に組織率が低い中、パート労働者の組織率はわずか四・八%です。パートを含む非正規労働者を大きく組織していくことが今後の運動の大きな課題になります。東京地評は六月に非正規と中小企業の労働者向けにコミュニティーユニオン東京を立ち上げることにしていますが、みなさん方の組織化について少しご紹介願えますか。
坪井さん
丹木 ええ。江東区労連も未組織対策委員会を恒常的につくっていて、合宿をしたり、みんなで力を合わせていろんな事をやっています。公共一般はパートや非常勤職員が中心なのでどうしても辞める人が多いのですよ。その中で、どうやって組織しようかと苦労しています。いつも目をギンギラギンにして、会議には誰でも呼んで、組合員でない人がいるなと思ったら、その場で自由にいろいろ意見を言ってもらって働きかけるんです。五、六月の会議の時は、新採用の人達が加入書を持って一〇人くらいが並んでくれるんです。
江文 いいですね。うちの会社にはパート労働者が多く働いています。組織化し始めてから二二、二三年たつのですが、春闘の時には、必ず、社員と同じ働き方をしているアルバイトは社員化の要求、パートは時給の引き上げと共済の充実を求めてやってきました。そしてパートについてユニオンショップ協定を結ぶところまできました。さらに関連子会社が一六、七社あるんですが、それも社員のユニオンショップ協定をかちとってきました。
坪井 組織拡大でいうと、全国で一年間に四千人を増やしました。その特徴は、委託労働者の組織化が進んでいることです。そして介護部会準備会も立ち上げて介護労働者の組織化が始まっています。また地域生協ではユニオンショップ化を促進しています。大学生協ユニオン東京の場合は、団交などは私や地連の役員がやり、正規職員の単組に負担はかけないから加入チラシだけでも配って欲しいとお願いしています。

 若い人の力で賃上げ 地場の賃金相場調査 (丹木さん)

伊藤 職場の若い人達の要求も取り上げていると思いますが、どうですか。
丹木さん
丹木 一〇年前、保育園で働く臨時職員を一一七名だったかな、組合の運動で、保育士の資格がなくても一斉に非常勤職員にしたんですよ。でも区からの給料では生活できないので、おおぜいダブルワークしています。江東支部には青年もいっぱいいるので、四年前、支部に青年部もつくって毎月二回会議をしています。昨年の四月の賃上げを勝ち取った闘争では、その前の年に、青年たちが街中の求人広告をデジカメに撮って、地場の賃金相場を調べて、役所がこの額では駄目じゃないかと交渉しました。若い人のこの力が私たちの運動にも拍車をかけてくれています。
江文 会社は、今は安い賃金で正規もアルバイトも採用します。そうすると同じ仕事をしても賃金体系が違うので、不平不満はありますよね。要求はいっぱいあるのですが、それを拒んでいる原因は、企業だけでは解決にならない。トラック業界は競争が激しく運賃のたたきあいになっています。高速道路のパーキングエリアで聞き取りをすると少人数の事業所で働いている人は家に帰っていないですね。夜に走らないと生活できない。去年の春闘では、若干、国交省が動いて、燃料サーチャージの問題では荷主と交渉ができるという追い風が吹いたんですよね。産別として公正な取引に向けた運動に力を入れているところです。
丹木 じつは私たちが賃上げを勝ち取れたのは、自治体キャラバンでの担当課長の回答がきっかけだったんです。パートや非常勤について何にもしないとは言えなかったようで、そのことをみんなに報告をして、みんなで頑張って、大きな賃上げにつながりました。キャラバンのすごいところは、たくさん課長が来ているし、組合側も色々な単産から来ていること。大切な交渉・懇談ですよね。
坪井 大学生協の店長は「名ばかり管理職」でしたが、秋闘の回答で残業代をだす方向になりました。休暇の取得率も悪い。メンタルヘルス不全も増えて、休職期間が切れて退職する仲間も出たりしていて、組合としても力を入れていきたいと思っています。最賃の話ですが、生協労連から地方の最賃審議委員に全国で三一名立候補して、全員落選したので、異議申し立てや、労働局と交渉したりしています。最賃に引っかかるところも結構あるんですよ。時給千円は何としても実現したいです。

 日本には大きな転機に 楽しく活動も大事 (伊藤さん)

伊藤さん
伊藤 去年の春闘の前進面は、最賃闘争で東京二七円の引き上げでした。問題はありますが、生活保護との整合性を言っている訳ですから前進だと思っています。今年の春闘は、何としても大幅な賃金の引き上げをしていきたいですし、人事院が非常勤国家公務員の労働条件に関する指針を作りなさいと各省庁にいっている。労働時間に関しては一五分の時短勧告があり、時給に換算すれば三・五%の賃上げになります。この二つを武器に自治体キャラバンも積極的にやっていきたいと思っています。派遣法は少なくとも登録型派遣は全面的に禁止すべきで、一九九九年の全面解禁以前に戻させたい。それと社会保障の充実と税金の負担減。失業者を政府が採用していく取り組みを進めていくことが大切です。あとは自治体の発注する公共工事が競争入札になっています。賃金を保障した適性・公正な価格での入札・契約制度を作っていかなければいけないと思っています。それでは、今年はどんな年にしたいかなど、うかがいましょうか。
坪井 どんな年にですか。生協労連自体がディーセントワークをめざしているので、自分もそういう働き方をしたいなと思っています。映画や演劇を見たりするのが好きですが、なかなか文化的な生活が出来ない。それではつまらない人間になってしまうので、今年はそんなことが出来る年にしたいなと。それと組織拡大オルグとして、二年間で四千人の対象者といかに対話し、加入してもらうかが大きな課題で、日々なやんでいます。
丹木 私としては、昨年に引き続き、今年の目標は、賃上げ、そして一時金をよこせ、ですよ。正規並みとは言いませんが、仕事が四分の三だったら四分の三くださいと言っています。あと学童クラブの四年に一回の試験の廃止です。区労連としては地域ユニオンに力を入れて行きたいと思っています。個人的には太鼓や日本舞踊、ゴルフの時間をもっとつくろうかと思っています。太鼓をたたくと、スゥーとします。江文さんは、何かするんですか。
江文 そうですね。いくつかありますが、私もゴルフもしますし、野球もやっています。前はずっと少年野球のコーチをやっていたんです。今は会社で野球チームを作ってやっています。「神田キングス」というチーム名で二〇人くらいいます。楽しいですよ。建交労って野球をする人がわりと多く、地域のクラブにも入っているようです。組合のほうでは役員の世代交代を進めたいと思っています。
伊藤 暗いニュースが多いですが、楽しく活動をしていきたいですね。私も時給の引き上げ、労働者派遣法の抜本改正を実現したいですし、七月の都議会議員選挙、衆議院選挙をたたかいぬき、大転換をはかっていきましょう。今日は本当にありがとうございました。今年も頑張っていきましょう。
全員 ありがとうございました。